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笠戸丸から見た日本―したたかに生きた船の物語

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によって 宇佐美 昇三
3.7 5つ星のうち2 人の読者
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著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 宇佐美/昇三 1934年名古屋市に生まれる。1958年立教大学文学部社会学科卒業(専攻 ジャーナリズム)。1958年国際基督教大学大学院教育学研究科入学(専攻 視聴覚教育)。1959年日本放送協会(NHK)入局(国際局報道部員)。1961年NHKを一年間休職し、フルブライト全額支給生でニューヨーク大学に留学(専攻 コミュニケーション・アーツ)。1964年NHK教育局(番組ディレクター)。1970年国際基督教大学大学院に復学し課程修了(教育学修士)。1974年NHK総合放送文化研究所(番組研究部員)。1979年同研究所主任研究員(1986年まで)。1986年上越教育大学助教授(1989年、同大学教授)。1993年駒沢女子大学教授(2005年、定年退職)。現在、日本大学芸術学部非常勤講師。日本教育メディア学会、外国語教育メディア学会、日本映像学会、日本ペンクラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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「したたかに生きた船の物語」、まずこの副題に魅せられた。以前、黒馬の一生を追った映画に心打たれた経験からである。果たせるかな、初期にカザンだったこの船の生涯も波乱に富む。彼女は1900(明治33)年、ロシア義勇艦隊の一艦として、イギリス・ニューカッスルはタイン河口の造船所で進水した。義勇艦隊の基地オデッサへの処女航海にタイン河を後にする。「石炭と煤で汚れたこの河は、水の黒さに似ず鮭の名所で、毎年遡上してくるという。しかし、カザンが鮭のように再び故郷の河に戻る日はこなかった。」で、第2章が結ばれている。この句は1945年8月9日、ロシア参戦の翌日、奇しくもロシア軍の爆撃によって45年の生涯をカムチャッカ沖に、鮭缶満載のまま終えた26章「最後の航海」の伏線かと後に思って胸に響いた。最初はオデッサと極東の旅順軍港間のロシア兵員輸送船。日露戦争の旅順陥落で日本軍に捕獲され笠戸丸と改名。病院船、客船、移民船、蟹工船、武装商船として明治・大正・昭和の激動期を最期まで仕えた。運命の波間に揺れたその活躍自体ノンフィクションとして読み応えがあるが、第2の柱の価値はやはり主題の通り、笠戸丸に併走する日本の現代史の駒々だ。歴史を船からみて、庶民の姿が見事に浮かんでくる。本書は特に南米移民の苦難の足跡に詳しい。太平洋戦争の表舞台での敗戦記は耳目にする機会が多いが、晩年日本海から北洋にかけての裏舞台に黙々と生死を懸けた彼女の航跡も手に汗を握る感懐がある。更に第3の柱として、著者が膨大な資料に目を通し、関係者に会い、内外の故地を踏査して調べた研究者魂がある。縁あって著者が昔ふと目にして興味を持った「笠戸丸」の僅か1語をキーとして、その後生涯かけて謎解きをしたこの大作は、調査研究とはかくあるべしの模範でもある。卒業論文や自分史を書く人、指導する人には、ぜひ参考にしてもらいたい1冊である。(白河正)

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