73光年の妖怪 (1963年) (創元推理文庫) epubダウンロード無料

73光年の妖怪 (1963年) (創元推理文庫)

strong>本, フレドリック・ブラウン

によって フレドリック・ブラウン
3.9 5つ星のうち7 人の読者
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広い意味での宇宙人侵略物なのだが、F.ブラウンらしい機知とストーリーテリングの巧さが光る作品である。73光年の彼方の異星からやって来た一人(?)の知生体。知生体は他の生物に乗り移り、その宿主の意識・行動を制御する能力を持つ。ただし、知生体自身及びその能力にある制約があって、そのために知生体が苦闘する様を知生体の一人称として描いている部分を設けている点がまず工夫である。地球と言う異世界における知生体の奮戦記としても読めるという趣向である。知生体が観察した人間模様の描写は「火星人ゴーホーム」を彷彿させ、相変わらず皮肉が効いている。しかし、知生体の宿主が御馴染みの動物になって来る辺りでは、一転恐怖小説の趣きを呈して来る。この辺の展開は巧妙。物語には頭の切れる物理学者が登場し、最後は知生体とこの物理学者との知恵比べになるのだが、ここは手に汗握るスリリングな展開。単なるSFではなく、風刺小説、スリラー、サスペンスと言った複合的要素が盛り込まれているのだ。また、物理学者の助手のような役を果たす、"空想科学小説"好きの老女性教師の造形も秀逸。物理学者が知生体の存在に気付く過程が余りにも安直な気もするが、上述した"知生体の一人称"がその緩衝材の役割を果たしている辺りも創りが巧いと感じる。ラストシーンの叙情性も印象的。F.ブラウンの才が充分に堪能出来る佳作だと思う。

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